車との対話を楽しみ…現在よりも、もっと車が愛されていた古き良き時代…。
自動運転化に向かって、まっしぐらの現在…。
今では車に乗り込み、キーをひねることも無くボタンを押すだけ…。
その日の天候次第でエンジンの調子が変わったり、個々の車ごとに何か特殊な操作が必要だったりすることは全くない。
逆に昔は、いろいろと様子を見つつ…調子を伺いつつ…気を付けて運転したものでした。
運転中のストレス軽減という点では、もの凄く進化したけど…車との対話という点で「車」が優秀過ぎて、手が掛かったころが懐かしい気もします。
今回は、古き良き昭和の操作をまとめてみました。
【暖機運転】
暖機不要論が主流の現在、いきなり全開は避けるとしても…そのまま走り出すのが普通です。
しかし昭和の時代、とくに50年代までは暖機は必須!
エンジンが温まるまでは走りがかなりギクシャクして乗れたものではなかったので、エンジンを始動したら、水温計の針が動くまでは皆待っていたものです。
【チョーク】
暖機と関係するのがチョークです。
バイクやトラクターなどには今でも使用されていますが、自動車にはもうありません。
インパネに付いているノブを引っ張ると燃調が濃くなり、エンジンがかかりやすくなるという機能で、冬場はチョークを引かないとまったくエンジンがかからないのが普通でした。
寒い朝…慌ててチョークを引き忘れエンジン始動時にカブらせてしまうと、数時間足止めを喰らうこともしばしば…(TωT)チコクカクテイ
【ダブルクラッチ】
ヒール&トゥも含め、吹かしてシフトする操作(吹かし込み)の場合…クラッチを踏むのは1回だけ!
ダブルクラッチとは、その名のとおりクラッチを2回踏む!
具体的には、シフトするときニュートラルのところで一度クラッチを放し、アクセルを吹かして回転を合わせ(回転差が少ないときは吹かさないこともあり)、もう一度クラッチを切ってシフトをする技術のこと。
吹かし込みと効果は似ているものの、ダブルクラッチのほうがミッションの内部もギヤが合うので、より入りやすく、よりミッションへの負担も小さい。
ミッションにシンクロが付いていなかったり、付いていたとしても弱かったりしていた時代の上級技術で、運転の上手い下手の判断基準でもあった為、目立ちたがり屋の若者達は必死に練習したものです。
【ポンピングブレーキ】
現在でも教習所では習うし…試験場の検定官は「必要だ」と言うと思うが…実際は絶滅してしまっているのが、ポンピングブレーキ。
その名のとおり一度で一気に制動させずに、何回かに分けてブレーキペダルを踏む操作のこと。
目的としては後続車へのアピール、それとタイヤのロック防止などです。
今はブレーキランプに加えハイマウントも付いているし、LEDの登場によりとても明るい!
ABSなどブレーキや車体コントロール機能が発達し、タイヤのロックもスピンも、させようとしても出来ないようになっています。
【アフターアイドリング】
ターボ車はエンジンを止めるときに、しばらくアイドリングさせてからOFFにしたほうが良いとされていました。
タービンの温度を下げて焼付きを防止するというのが目的で、当時からその効果には賛否あったが…ターボタイマーなどのアフターアイドリングパーツは飛ぶように売れ、老若男女を問わず装着していました。
現在は部品の精度や耐久性も向上しているので、よっぽど高負荷な運転を長時間続けた場合などを除き、車を止めたらすぐにエンジンを切ってOK!
【吹かしてからエンジンOFF】
スボーツカーでやっている人が多かったが、エンジンを切る前に、Σブオンと吹かして、その回転が落ちるのと同時にオフにするという行為がよく見られたものです。
目的は最後に残っているガソリンを使い切る…的なものだったが、いま思えば意味のない行為だった…だけど、なぜか“カッコイイ操作をしている感”があったのは事実…。
【信号待ちでヘッドライトOFF】
その昔はダイナモの発電量が少なく、停止時の過負荷防ぐ必要があったのと、光軸が狂いやすかった為、対向車に迷惑をかけてしまうことを避ける目的があり、教習所では習わないが、当たり前のマナーとして皆がやっていました。
現在では坂になっていたりして、よほど対向車に直接ヘッドライト光が当たらない限りは不要ですし…光軸はしっかりと出るし…狂いにくいし…ON/OFFを繰り返すとハロゲンはもちろん、LEDやHIDでもライト自体の寿命に影響するので、やらないほうが良いでしょうね。
【坂道はステアリングを左に切って停車】
役所系や配送の車両は現在でも路肩に止めるときに左に切って止めているケースを見かけるが、昔はMT車を坂道に止めるときにはステアリングを左に切ったまま止めていました。
サイドブレーキがあまり効かないクルマも多くて、シフトを入れ忘れると、ゆるゆると下がりはじめて大惨事になりかねない恐れがあったからです。
左に切っておけば路肩にぶつかって止まるので、万が一のために行なっていました。
いまでもやっている車輌があるのは、他車がぶつかってきた場合に備えてのことのようです。
【トンネルの中で右ウインカー】
これは昭和でもけっこう古い時代のことで、私も知らない習慣でした。
暗いトンネルで中央分離帯がないと走りにくいので、お互いに右ウインカーを出すことで道路のセンターが解りやすくなるというもの。
実に合理的だと感心しました。
現代の車しか知らない世代であれば「そんな面倒臭いことをやっていたの!?」と、思われるかもしれないけれど…当時のドライバーはこれらの操作を当たり前のように行ない、どこかでそれを楽しんでいた部分もあったんだよね…ほら、出来の悪い子供ほど可愛い…っていうでしょう!?
昭和の車を楽しんだ人たちからすると、現代のクルマは優等生すぎて少しモノ足りなさを感じることがあるかもしれない…というより、面白くない!
現代っ子も「面白くない」と感じているから、若者の車離れが加速しているのだと思う…。